マットペイントという言葉の誤用

マットペントという言葉の説明や認識として、

・写真を使った壮大な風景画
・リアルで壮大な風景画
・写真を下地に絵を描くこと

などが見受けられますが、これらはいずれも間違いです。映画関係者が聞いたら眩暈を起こして倒れるレベルです。

 

そもそもマットペイントとは映画におけるSFX(特殊撮影技術,特撮)の一つです。カメラによる撮影が困難なシーンにおいて、実写映像を絵で補完する技術、あるいはそのための絵を指す言葉がマットペイントです。

 

Q、つまりどういった事です?

A、こういうことです↓

3Dなどを使ったデジタル合成ができなかった時代は、カメラの前にガラスを置き、そこに絵を描くなどして様々な景色を合成しました。こういった特撮技術をマットペイントと呼びます。(引用元→https://vfxforfilm.wordpress.com/2013/01/03/mattepainting/

 

他に、具体的に例を出すと(古い映画ばかりで申し訳ない)、以下のようなものをマットペイントと呼ぶのが正解です。

※映画スピードにてバスが高速道路の切れ目をジャンプするシーン。この切れ目は、実際にはつながっている高速道路の映像に、切れ目をマット画合成したもの。マットペイントは実際にはそこにないものを描き替えたり補完したりする。

※映画ダイハード2のラストシーンは本物の映像ではなく絵でした。


※映画インディ・ジョーンズ~魔宮の伝説~のクライマックスの断崖。
これは実写にリアルな崖の絵を合成して撮影されたものでした。マットペイントは現実にはない景色をでっちあげることができる。

 

しつこいようですが…

写真を使った絵=マットペイント

ではない
もっとも勘違いの多い誤用です。マットペイントの合成先は主に実写映像です。ですから写真並みにリアルに見せるように描く必要があります。
特にデジタルマットペイントにおいて写真を使うことが多いのは、合成先が実写であり手っ取り早くリアルに描くうえで、それが最適だったという結果でしかないわけです…。なお写真を下地に絵を描く技法のみを指すのならフォトバッシュという専用の言葉があります。

 

このマットペイントという用語の誤用。写実系絵描きがマットペイント風に描いた絵を見る側が取り違えたのか、はたまた、技術部分だけ独り歩きして広がってしまった結果なのか、イラスト業界に根強く蔓延するほど広まってしまいました。いまやイラスト技法の解説サイトまで誤った解説をする有様です。

 

マンサード屋根・ギャンブレル屋根・半切妻屋根…

不意にこの建築はマンサード屋根ではなくギャンブレル屋根ですね…と近代建築を巡りながら写真を載せている方を見かけて、そういえば、マンサードギャンブレルは良く混同されると思い、これまたよく混同される半切妻屋根と一緒にまとめてみました。

とにかく良く混同されるというこの3種類(試しにググって見りゃわかります)。この記事を書いた時点で日本語版wikipediaのマンサードの項目にある写真すら間違えている(マンサード屋根でない写真を載せている)という恐ろしさ。書籍や建築趣味系のブログですら怪しい解説が多い。また欧州(フランス・ドイツ辺り)ではギャンブレルとマンサードを区別しないことになっているらしい(?)ので、更にややこしいことになっています。あえて識別するなら米英由来で比較的新しいギャンブレルとブルボン朝時代のフランス由来のマンサードは発祥地も歴史的な経緯も違うので、どちらを継承したかという点が重要なのかもと。

近代建築畑でこの3種の混同は散見されますね…(これは主観になりますが)
例えば、稀にマンサード屋根と紹介されている、宮城県知事公館はマンサード屋根ではなく実際は半切妻屋根であったり、マンサード屋根の駅舎と紹介されている西桐生駅は、厳密にはギャンブレル屋根と称するのが適切であったりするわけですが…一度定着するとなかなか直らない。本場フランスでは区別してない(らしい)からマンサードでいいだろ!と言われればそれまでなのですが…。

で、典型的なマンサードってどういうの?

↓こういうのです。

パリはとにかくマンサード屋根で構成された建築物が多い。



ヴェルサイユ宮殿も大部分がマンサード屋根。


ウィーン歴史地区

日本の例としては小樽の日本郵船ビルなどが厳密な意味でのマンサード屋根となります。

◆追記

やはり、フランスなどでは特に区別していないということが調べているうちにわかって来たので図解です。

検証が甘いので間違てるかもですが、混同の最大の要因として、地域よって定義がバラバラだったというオチでした。

では妻面が切り落とされているマンサードと、ギャンブレルはどう区別をつけるのか?…通常マンサードは軒が飛び出たりしないそうだ。ただ軒が飛び出ていないギャンブレル屋根も北米には点在するため、結局は根っこの部分から区別していくしかないというお話でした。

※以前は妻面を正面とする傾向がギャンブレルの特徴では?と考えていましたが、初期の北米のギャンブレル屋根の建築の例を見るに、その法則は全く当てはまりませんでした。

天井裏や壁の中から子猫が出てきました

・天井裏の音

まさかとは思うかもしれない。

自分も最初はあり得ないと思いましたが、天井裏や壁の中から子猫が出てきました。

以前より、天井裏から何かが這い回る音が聞こえることが良くあった我が家ですが、ネズミか何かだろうと気にも留めていませんでした。時折、猫が喧嘩をする音が聞こえても、屋根の上で喧嘩しているのだろうと考えていました。

ある日、天井から子猫の鳴き声が聞こえるので、おかしいと思い大工さんに見てもらうことにしました。すると驚くことに子猫が壁の隙間に挟まっているではありませんか!どうやら、増築を度々繰り返した際に、施工ミスにより、外壁と屋根の間に猫一匹通れる隙間ができていたようです。それに気が付くまで数年間、野良猫が天井裏に出入りしていたわけですね(恐ろしや)。そして、良く家の周りをうろついている野良猫が天井裏で子猫を生んでしまったというわけです。その子猫が天井裏を徘徊している最中に誤って壁の隙間に落っこちてしまったということでした。

ビフォーアフター…

さて、壁をこじ開け、子猫を壁の隙間から救い出し、親猫に託して、隙間を埋めて一件落着…とはいかなかったのでした


・親猫救出作戦

「親猫(と子猫)が入った気がする…」
そう言いつつ隙間を塞いでしまった大工さんの不吉な一言。
目を離した隙に、親猫が隙間から天井裏に侵入。今度は親猫ごと天井裏に閉じ込めてしまいました。耳をすませば、天井裏から大人の猫の重い足音。たわむ天井。まさかそんなはずでは?と脱衣場から天井のハッチを開けると、そこには、こっちをじっと見つめる親猫の姿がありました。疑念は確信に変わりました。

なんとかハッチから連れ出そうとするも、警戒心の強い野良猫は決して近寄ってきません。エサで釣ってもダメ。バルサンを炊いて燻り出す作戦も効果なし。結局、塞いだ箇所を開けて、親猫が自主的に外に出てから、もう一度塞ぐことにしました。その方法で親猫は無事天井裏から出ることができましたが、問題は子猫。この時点は子猫が何匹いるかわからず(当時は1匹だけかと思っていました)、天井裏から出すことは困難なため、見殺しにする方向(可哀想だけど)で話がまとまっていました。なにより実際に子猫までいるかどうかすら確証がない有様でした。


・再び壁の隙間に挟まる子猫

ところが数日たたないうちに、天井裏を徘徊していた子猫が、自室のドアの上の壁の間に落ちました。壁を内側からガリガリとひっかく音、そこから聞こえる悲痛な鳴き声。確かに子猫はいるようです。さて、柱がある関係で子猫は左右に大きく移動はできない点、確実にそこにいるという確証が持てたという点で、これは幸運でした。早速壁をこじ開け、中から子猫を救出。ブルーの瞳の黒猫でした。

親猫回収ボックス(ダンボール)に入れる。その日のうちに親猫が連れて行った様子。

壁をはめ戻した後。壁紙が…


・まさかの2匹目

数日経つと、天井から再び子猫と鳴き声が聞こえるようになりました。ラヴクラフト全集(壁のなかの鼠)の読み過ぎで、気でも狂ったのかと思っていました。まさか2匹目がいるのでは?いやそんなはずはないと半信半疑でいたところ、もがくような音とともに鳴き声がだんだん壁の下の方に移動していくのがはっきりわかるようになりました。慌てて大工さんを呼び、今度は外壁の下部を開けてみると、断熱材(グラスウール)の間から子猫が! 2匹目を救出。またもや真っ黒。

次々と壁に穴が開いていく我が家(涙

また黒猫。弱っている…


・2度あることは3度ある

天井に子猫事件からさらに数日、再び子猫の鳴き声がするようになりました。しかも今までとは違い、頻繁に徘徊。運よく壁の裏に落ちてくれれば居場所も特定できるのですが、今回はそう上手くいかない様子。家族会議により、天井の子猫は死ぬまで放置という方針になりました。しかし、親猫の呼び声に反応し、昼夜問わず日に日に大きくなる鳴き声に睡眠時間は削られ、ついには幻聴まで聞こえる有様。良心との葛藤。完全にノイローゼな私は、脱衣所のハッチから天井裏への侵入を試みましたが、たいそうご立派な梁に行く手を阻まれ、直接救助は無理だとわかりました。入ってみてわかったのですが、天井裏って案外狭いんですよね…。そして、2匹目救出から1週間経ったころ、ついに我慢の限界に達した自分は、「自分があの塞いだ箇所をこじ開ける!そうすれば子猫は出ていく!」と見殺し案を蹴って、朝から子猫救助を主張。もう一度大工さんを呼び、子猫が頻繁に立ち寄ると思われる自室の窓の上あたりの外壁を外すことにしました。ちょうど出窓になっており、この位置は親猫は来られない(また侵入される心配はない点)と、出窓の上に子猫が降りることができると考えたからです。その状態で放置してみることにしました。

また一つ壁に穴が…

数時間後…

出ました。3匹目の救出に成功。穴の付近から鳴き声が聞こえたので、脚立をかけて引っ張り出しました。以前の2匹と比べてよく歩く。そしてよく鳴く。数週間放置されていたとは思えないほどアグレッシブな子猫でした。


3匹目も真っ黒

ひとまずダンボールで軽く塞いでおくことに…


・実は4匹でした

寝不足だった自分は、仮眠を取ろうと、自室で横になっていると、また猫の鳴き声が…。今までに助けた2匹だろうか? いや、外ではなくやはり天井裏だ。数時間たったころ、よりはっきりした鳴き声になったために、もしや!?と思い、慌てて脚立を立てかけ、ダンボールで軽く塞いである出窓の上の壁を開けてみると…

いた…


なぜかこの猫だけキジトラ。黒い子がいなくなった途端に異変を感じて鳴き出したために、運よく救出できました。でなかったら今頃…

3週間近く放置され、相当空腹だったせいかなかなか鳴きやまない(近所迷惑)なので、離乳食(子猫用の乾燥餌をお湯に浸して柔らかくし、すり潰したもの)を与えたら、すっかり元気に。


・最後に…

さて、自分の家で起きたこと様なことが他所の家でもあるのだろうか?とネットで検索をかけてみると、屋根裏や天井裏に猫が住み着いてしまう。さらに子猫を生んでしまうという事例は結構あるようです。天井裏は暖かいせいか、猫に好まれるのだとか…。猫以外には、昨今話題のハクビシンが住み着いてしまうケースなどもあるようです。天井に穴をあけて引っ張り出す事態に発展したり、保健所に連絡して駆除した例もあるようで、壁に穴が開いた程度で済むだけならマシかもしれません。案の定、長いこと猫が出入りしていたせいか、天井の断熱材はボロボロでした。

なお、猫騒動のおかげで施工ミスによる穴と、それによる謎の隙間風の正体はわかりましたが、そうなるまで気が付かなかったというのも恐ろしい話です。