これからイラストレーターや、グラフィッカーになる人へ。
職歴に書いてはいけない(実績公開不可)という案件は請けるか否かは良く考えましょう。
こんなこと書いたら仕事こなくなる気がして怯えつつも、たまには真面目なことを書こうかと思います。ここ数年この手の案件が増えている傾向にあります。残念ながら大変嘆かわしいと感じているのが実情です。
例えば、私なら、○○というゲームに携わりましたと、このサイトの職歴欄に書いてありますし、ポートフォリオにも記載します。特定の作品に携わっているということは、それは仕事をする上で営業する上で信用になる意味でもあるのです。ところが、それが出来ないということです。特に自由業・自営業は仕事が次に続かないと死にます。
この手の話題については、ツイッターといったSNSのような「愚痴の垂れ流し場」なら、本職の人間にそういう悩み不満を、たくさん目にします。ただ、リアルタイム情報が流れていってしまうので、文章を記録する意味では不得手です。なので当サイトの記事に記録しておこうと思います。
なお、絵の単価が云々とか、ブラックで詐欺な案件がとかそういう話はしないです。
◆単発なお仕事
まず、このような案件が多いのは主に単発の仕事。その単発の仕事はどういう経緯で回ってきたものかというと、
・どこかの業者が社内で処理できず、下(下請け企業・フリーランス)に丸投げしたもの
・あるいは丸投げされた下請け企業が社内で処理できず、更に下に投げたもの(孫請けと言います)
・上から来た仕事を下に投げる業者から投げられたもの。(俗に言うイラスト仲裁)
いずれにせよ、他者の尻拭いをしているわけです。
不満点は多いけど金もらえるならちょっとくらいいか、生活かかってるし。
とか考えながら請け負うわけです。実際それで業界が周っていますし、私自身も恩恵を受けているのであまり文句は言えません。
単発案件ならべつに実績公開できなくてもいいや。そう思うかもしれないです。ちなみに私はそう思こともあります。ただ、何故実績公開不可なのか腑に落ちない依頼も多いわけです。仕事のやり取りでこれを説明する業者は未だにおりません。
◆継続的な仕事でも
さて、今は私は、とあるブラウザゲームの仕事に役1年半ほど携わり続けています。最初は「ちょっとだけ」と言いつつ、継続的に仕事が来るという利点があり続けています。自分のしていることが世に出ない、お世辞にも良い金額とはいえないという具合です。流石に厳しくなってきたため、せめてその作品に携わっていると周知されることに意義を見出していたのですが、実は実績公開不可だったと聞かされ、ショックを受けて、現在交渉中といった具合です。言葉は悪いですが本音は「せめて口止め料よこせ」という感じです。(そういう経歴がありまして、今現在、継続的な依頼でなおかつ実績公開不可案件は請負不可あるいは交渉とさせていただいています。)
冒頭でその手の案件を請けるかどうか良く考えろと書きましたが、請けるにしても、継続するにしても、せめて金額や公開条件は先方と交渉してください。浮ばれないと思いつつも請負い続ければ、最終的に自分の首はおろか、これから業界に上がってくる人々の首すら締めかねないのです。
◆それでも請け負う
上で散々言っておきながら、私は実績公開不可案件も請けています。多くは単発依頼です。何でもかんでも発注を断っていては、やはり死にます。ここで重要なのは仕事に過剰に愛を持たないことです。投げやりに聞こえるかもしれませんが人は愛着がわくほど、見返りを求めるものです。ここはひとつ完全に割り切ってしまうことです。先に言ったことと矛盾してしまいますが、仕事は仕事と割り切り、次の日には終わった仕事は忘れることも大事です。名前を出せる仕事までの繋ぎ程度に考えておくのがベストかと思います。
反面、継続的に携わった仕事は愛が芽生えます。私は愛が芽生えました。だから浮ばれないとも考えるようになったのです。
○一応フォロー
実際のところ、実績公開不可が必ずしも悪いことではないという事例もあります。特定の作品に携わったと明示することは、その作品に対して生じる「責任」を大なり小なり追うということです。責任が追うのが嫌な人にはもってこい? 確かに気軽ですが(ごめんなさい)そういう話ではないです。SNSやネットが発達した昨今において、いわゆるクレーマー気質な人々が、企業の枠を飛び越えて外注絵描き(下請け)にクレームを入れるという事案が稀にありました(某スマホゲーや某ブラウザゲーなど)。外注側からしてみれば直接開発に携わっているわけではないのですが、クレーマーにはそこがわかりません。実績として名前が出ないことは、面倒なことまでは請け負わなくて良いということでもあります。
すみません、質問です。
瀬尾さんは絵の仕事始めた頃はどうやって仕事をもらうですか?
単刀直入に言うと就職活動です。私は元ゲーム会社の背景グラフィッカーですから、それによって実績が存在します。実績があるからフリーランとして独立した後も仕事をもらえます。
さて、この記事で言っていますとおり、職歴や実績は武器なのです。営業するにも、ただ待つにも、大事なのは作品と実績です。だから、職歴に書くことができない仕事には注意を…という話ですね。
2年前の記事ですが、読んでいて涙が出ました。
私はクリエイティブに関して大部分携わったのに、
掲載許可に関する連絡は無視され続け
やっと返事が来たら公表不可と言われてしまい
協力者にも説明がつかず途方に暮れていました。
こんな扱いを大手企業が安い金額で発注するなんて許せないし
これだからクリエイティブ職はやってられません。
将来のクリエイターの為にも、私はくいっぱぐれたとしても
もう掲載可だと分かる仕事以外は絶対に受けません。