「絵描きはこういう依頼内容だと嬉しい」的な情報はSNS等に出回るのですが、
絵描きがクライアントにどう接すればいいかの説明は案外見かけないのでメモしておきます。
全ての人間がコミュニケーションが得意なわけではないという前提のもと、不明な点は逐一相手に聞く癖をつけておく必要があります。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)なき状態でスムーズなやり取りはできません。
とにかく積極的なコミュニケーションや交渉は重要です。思い込み、拡大解釈、偏見で勝手に悩んだりキレるのはご法度です。受動的では絵の仕事はできません。絵仕事のトラブルはコミュニケーションのトラブルに起因することがほとんどです。
【依頼が来たときの相手に聞き返すべき内容リストとそのタイミング】
■詳細がない
詳細がない時点でフツーはお断り案件です。まともな案件ならそんな依頼はまずありません。
それでも地獄を見たい仕事を受けたい場合は、
・作品の方向性や具体的な仕上げのイメージ
・納期・金額
・提出フォーマット
・プロジェクトの内容
・作画のための資料の有無
・追加料金の発生条件
は必ず伝えましょう。
肝心なことを守秘義務云々と最初に出し渋る場合はブラックなので断りましょう
■相手は何も知らない。自分も何も知らない。
前提として相手はこちらを知りません。絵に明るくないクライアントの可能性も高いです。完成したキャラ絵の顔の角度を変更してほしいといった無茶ぶりをしてくることも当然あります。自分は、絵とは、何ぞやから説明する精神で伝えましょう。そして、自分も何も知りません。自分が何を知らないのか自分自身を見つめる必要があります。
■わからないことがあったら聞いてくれ(意訳
詳細情報が少ない段階でこの手の言い回しが多いクライアントは、高確率でコミュニケーションが受動的であり、根掘り葉掘りこちから聞き出さないと情報を一度に出しません。
「後出し案件」化しないためにもしつこく聞くべきです。「聞いてくれって言ったのに聞かなかったじゃん?」のような責任逃れ体質を象徴しています。※たしかに聞かなかったこっちも悪い
■金額、納期
相手が指定してこない場合は必ず相談しましょう。
安すぎあるいはタイトすぎてお互いの条件が合わない場合は縁がなかったと思って断りましょう。
■仕上げの質や求められている作風
仕上げの具体的なイメージは必ず最初に確認しましょう。この手を指示がない場合はまずい状況だと考えてください。「自由にやっていい」とか言われても情報が出るまで聞き返さないと最後に馬鹿を見るのは自分です。
特に自由にやっていいというタイプは「思ってたんと違う…」と完成の状態から描き直しレベルの調整を行おうとするので、何度聞いても最初のすり合わせで方向が定まらない場合は案件を受けないようにしましょう。本気で自由にやっていいというなら納品物に対して一切文句は言わないという前提を設けましょう。
上記の点で、自身がどういうアプローチで作品を描いるかも確認も大事です。「自分厚塗りなので線画はない」といった感じに、あらかじめ作業手順を伝えておくとトラブルが減ります。必ず相手に伝えましょう。あとから「線画データ欲しい」とか言われないためにも
■具体的な指示がない。言葉に頼る傾向がある。
「すごいの描いてほしい」「壮大にしてほしい」「もっと可愛く」のような曖昧な表現を言葉を多用する癖があるかどうかは確認しましょう。分かりづらい、あるいは曖昧な指示が多いタイプはこちからか詳細を聞き出さない限り具体的な指示を出しませんし、相手もこちらが分かってると勘違いしています。
まずは具体的な指示を聞き返しましょう。近いイメージの画像などを要求しましょう。それでもだめならクライアントの現場がぐだぐだな可能性があります…腹をくくれ
■素材の提供の有無
ゲーム内アイテムなど描きいれるなどの条件では、先方がすでにそういったデータ(設定用の3Dモデルなど)を持ってる可能性があります。提供可能かどうか利用が可能かどうか聞いてみるとお互い幸せになります。共有できるものは共有する精神で。
■できないものはできない
多すぎる修正はお断り、後出し案件お断り、~の段階まで行ったら修正はできない等々「できないこと」を伝えるのは重要です。必ず伝えましょう。相手はできると思ってます。見栄を張っても何の得にもなりません。
※これらのすり合わせ段階で相手の条件にキレ散らかすのはダメです
※SNSに晒すなどもってのほか
■~すると~なりますがよろしいですか?
キャラ絵にありがちですが、無茶を要求してくることがあります。
例えば相手は簡単に「手の位置を移動してほしい」とか言いますが、手の位置を変えたら腕の位置が変わる。腕が変われば肩が上半身が…と修正まみれになることは、絵を描いていればわかることです。ラフの段階ならいいのですが、色とか塗り始めたときに言われたら致命的です。が、相手は簡単にできると思っています。要求を前にして悩むくらいなら、「これをするとこうなる」という因果関係をしっかり説明し、いかに要求が「無理」かを伝えましょう。
すごく為になります。ありがとうございます。